ちなみに、このラジオドラマ「火星人襲来」は“本物”の火星人が襲来したと思って非難する市民がでるなど、一部でパニックを起こしてしまうほどだったと伝説になっている。
実在の人物をモデルとした映画『市民ケーン』もまた、別の意味で全米を揺るがせる作品となった。
荒廃した壮大な邸宅の内で、片手に雪景色の一軒家のあるガラス玉を握り"バラのつぼみという最後の言葉を残し新聞王ケーンは死んだ。
死後のケーンに与えられた賛否の声は数多かったが、ニュース記者トムスンは"バラのつぼみの中にケーンの真の人間性を解く鍵があると信じ彼の生涯に関係のある人々に会うことになった。
ケーンが幼少の頃、宿泊代のかたにとった金鉱の権利書から母親が思わぬ金持ちになった。
そのために彼は財産の管理と教育のため、片田舎の両親の愛の中から無理矢理にニューヨークに押し出された。
やがて青年になったケーンはかねてから興味を持っていた新聞経営にのりだした。
先ず破産寸前のインクワイアラー紙を買いとり友人の劇評家リーランドとバーンステインの協力を得て完全に立ち直らせた。
さらに斬新で強引な経営方針と暴露と煽動の編集方針で遂にニューヨーク一の新聞に育てあげた。
しかし、絶大な権力を手にするのとは裏腹にケーンは孤独な人生を歩みはじめるのだった。
まるで探偵映画のような手法を取っているが、それでいて、きっちりと人間の持つ欲望や情熱のむなしさという主題をきっちりと描いているところが、天才オーソン・ウェルズだ。
映画撮影、編集のテクニックでもエポックメーキング的な様々な手法を駆使している。
『市民ケーン』はいろんな意味で映画界を三歩前進させた作品だ。
●市民ケーン
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