デ・シーカ監督の感動作だ。
デ・シーカ監督は撮影の全てに実景を用い、狭い室内にカメラを持ち込んで、貧しい人々の生活をリアルに活写した。
アントニオは長い失業のすえ、ようやく映画のポスター貼りの仕事を得た。
仕事に必要な自転車を質屋から請け出すために彼はシーツを質に入れる。
六歳の息子ブルーノを自転車に乗せ、彼はポスターを貼ってまわるようになる。
ところがちょっとしたすきに自転車が盗まれてしまう。
自転車がなければまた失業だ。
アントニオは無駄とはわかっていても警察に行く。
毎日何千台も盗まれている時だ、警察は相手にしてくれない。
こうしてアントニオ親子の自転車探しがはじまった……。
どんなに貧しくても、ひとの心と気高い精神まで貧しくさせるとは限らない。
そして、生きること、生活し続けること自体の悲しさは時代を超えて、いつも一緒だ。今の日本においてもね。
『自転車泥棒』は、観終わると、心に何か、漠としたひっかかりを残し、それが(多分)生き続ける限り、その人の人生に微妙に影響する。そんな映画だ。
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