あとになって、そのことを知り、スティーブン・スピルバーグの偉大さを改めて感じた。
この映画は日常を徐々に徐々に非日常とも言えるし、いやいや、これだって日常さ、という世界に運んでくれる恐怖映画だ。
マイカーがトラックに嫌がらせされるというありふれた事件を、スピルバーグは巧妙な組み立てで一級のサスペンスに仕上げている。
この映画を観ると、しばらくは高速道路でもトラックを追い越せなくなること間違いない。
地味だが映画の楽しさの「ある一面」を思う存分味わえる20世紀の名作映画だ。
●激突! スペシャル・エディション / 洋画
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僕の『処女航海/ハービー・ハンコック』
新しいヨットで海に出たが、台風に遭遇し、自然界において自分がちっぽけな存在であることを知る。
それでも生き延びることができたのは、まさしく適者生存に違いないだろう。
そして最後は穏やかな海でイルカがダンスをしている光景を目にして終わる。
そこに見えてくるのは決して密閉された空間での熱ではなく、水平線の彼方まで連れて行ってくれる風であり、無限に広がる音の広がりだ。
そんなエナジーを秘めた音の道標に導かれ、爽やかな光のようなメロディが進んでゆく冒頭の「MAIDEN VOYAGE」を聴いたら、誰しもが今作のロマンに引き込まれるだろう(今作はその後スタンダード化された曲ばかり)。
・・・・・・という「海」にまつわるコンセプトのジャズの名盤。
生と死を司る海という未知で荒々しく、そこへ向かう人間の、しなやかさやちっぽけさには、しかし常に勇気が刻まれており、文明と自然との格闘の物語のようにさえ、聞こえうる作品だ。
ドラム、サックス、トランペット、そしてベースにピアノ。
ベストな組み合わせとベストなプレーヤー。
これからのウットオシイ梅雨から夏にかけて、お奨めの音楽です。
朝よりも夜に聴きたい。
●処女航海
●処女航海
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